A3 地方 公演 会話。 木戸衣吹

【A3!(エースリー)攻略】お芝居とは?/基本とその具体的な活用方法について【ビーズログ.com】

A3 地方 公演 会話

4月から6月にかけて上演予定だった「MANKAI STAGE『A3! 』〜WINTER 2020〜」が、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う政府の緊急事態宣言、ならびに地方自治体の方針を受け、全公演中止となった。 本公演では、すでに4月24日から5月10日まで予定されていた東京・天王洲 銀河劇場公演の中止が発表されていたが、このたび5月14日から24日までの兵庫・AiiA 2. 5 Theater Kobe公演、28日から31日までの香川・レクザムホール(香川県県民ホール) 大ホール公演、そして6月4日から14日までの東京・品川プリンスホテル ステラボール公演の中止が新たに発表された。 チケットの払い戻しについては、後日公式サイトでアナウンスされる。 なおパンフレットやブロマイドなどの公演グッズは、現在公式オンラインストアおよびアニメイト通販で取り扱われているほか、5月14日よりアニメイトの一部店舗、2. 5次元ショップでも販売される。 「MANKAI STAGE『A3! 』〜WINTER 2020〜」 2020年4月24日(金)〜5月10日(日) 東京都 天王洲 銀河劇場 2020年5月14日(木)〜24日(日) 兵庫県 AiiA 2. 5 Theater Kobe 2020年5月28日(木)〜31日(日) 香川県 レクザムホール(香川県県民ホール) 大ホール 2020年6月4日(木)〜14日(日) 東京都 品川プリンスホテル ステラボール 原作:イケメン役者育成ゲーム「A3! c Liber Entertainment Inc. All Rights Reserved. c MANKAI STAGE『A3! 』製作委員会2020 外部サイト.

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~春組稽古~ 「万里くんたち元気かな~?」 「絶対元気でしょ。 あの秋組だよ?体力ゴリラなんだから」 「体力カスの茅ヶ崎にゴリラって言われてもねぇ」 「先輩言葉選んでくださいよ」 「次、至と咲也」 「はいはい」 「至さん!頑張りましょう!」 「はぁ~、あっつい!!シトロンさんよく動けるな…」 「ワタシの国もっと暑かったヨ~!ツヅルももっと体力つけないとダメネ~」 「うっ、その通りすぎてつっこめない…」 「にしてもこんな暑い時期に一週間かけて地方公演とは…。 さすがに可哀想だ」 「いくら夏休み中で人が入りやすいからって一週間の地方公演とは鬼っすね…」 「ほんとに鬼。 夏休みで学生は休み、そして左京さんはこの公演のために休みを取っている。 今回の地方公演では旗揚げ公演「なんて素敵にピカレスク」の再演をしていて、莇は当時アンサンブルキャストがやっていた役をやっている。 名前はないけれどピカレスクはアンサンブルの役割もかなり多くアクションも多い。 少しだけ脚本を綴にいじってもらって再演しているというわけだ。 「みんなお疲れ。 楽屋に飲み物とか体冷やすもん置いてあっからちゃんとケアしろよ。 まじで保湿大事だから水分は多めにな」 「おー莇お疲れ。 お前も疲れてんのに毎日悪いな」 「いいよ、俺出番少ねぇし裏方メイン」 「あーちゃんありがとっす!!」 今日で地方公演は三日目。 左京さんのスケジュールは本当に鬼のようで、地方公演が始まる前日の夜移動。 二日間同じ場所で公演を行い、三日目午前中移動。 三日目ソワレと四日目、五日目マチネは同じ場所で五日目の夜に移動。 六日目2公演行ったら帰ってきて七日目にMANAKAIカンパニー専用劇場で千秋楽で全部で10公演だ。 正直休む暇がなくてきつい。 移動は移動で、もちろん疲れるしせっかく普段来ない地方に来たって買い物すらろくにできない。 もっと余裕をもって予定を組んでほしかったがピカレスクの再演を待ってくれているファンの方がとても多く、なるべくたくさんの人に見てもらいたいとのことでこのスケジュールになった。 そう言われてしまえば文句なんて言えない。 普段だったらこれくらいなんともないんだけど。 今は夏。 気温がかなり高い。 それだけでも体力を奪われる。 そして、俺は昨日からなんとなく体調が良くなかった。 体調が『悪い』のではなく、『良くない』。 つまりそこまで酷くはないが万全ではないといったところか。 もちろんそれを誰かに言うつもりはない。 ピカレスクは旗揚げ公演というのに加え、主演は俺だ。 俺がへばってどうする。 リーダーで主演なのだからみんなを引っ張っていかなきゃいけない。 そこまで悪くないしいつもだったらたぶん寝れば治る。 なのに暑くてなかなか寝付けない。 完全に悪循環。 まぁとりあえず一週間我慢すればその後は暫く休みが続くしゆっくりできる。 動きに問題はないし絶対にやりきる。 迎えた四日目の朝。 頭がツキツキと痛み、これはさすがに公演に支障をきたすと考え朝左京さんにコンビニに行くことだけを伝え、朝早くからやっているドラッグストアで鎮痛剤を買った。 ついでに体温計と冷えピタを買って急いで戻る。 トイレでこっそり熱を測ると37. 2の表示。 微熱の数字だが気温が高いせいかもしれない。 移動のときに首のあたりに冷えピタを貼るとみんなの視線が集まるが夏だし暑いから熱中症対策と言えば納得し、同じようにするやつもいた。 そうしてなんとか2公演乗り切った。 公演を終えてホテルに戻り体温を測れば37. 3で上がってはいないようだった。 「暑いっす~~~!!左京にい~なんか冷たいもの食べたいっす~」 「あ?暑いのはみんな一緒だろうが……と言いたいところだがなんか食いに行くか?」 いつも公演を終えてからはシャワーを浴びて一つの部屋に集まりミーティングがてらコンビニとかで夕飯は済ませていたがさすがに太一は飽きてきたようだ。 いや太一だけじゃない。 安いホテルなので朝食しかでないし毎回食べに行っていてはお金がかかるし仕方ないことなのだがコンビニばかりでは飽きてしまう。 「賛成。 もちろん左京のおごりな」 「言われなくてもそのつもりだ」 「わーい、やった!何にしようかな~」 「あー…あのわりぃけど俺パスで」 「万里食欲ないのか?」 「いや、そういうわけじゃないんだけど疲れてて飯より寝てぇんだわ」 「体調は大丈夫か」 「ん、そこは大丈夫。 最近暑すぎて寝つきわりぃだけだから」 「じゃあ今日はやめておくか」 「俺はいいから行って来いよ。 気分転換にもなるだろうし」 「せめて一人だけでも残って…」 「いいから。 寝てるだけなのに残らせるほうが気遣うっての。 行ってこいよ」 「万チャン!なんかお土産買ってくるね!」 「あぁ、いってら」 「いってきます!」 全員を送り出してベッドに入る。 念のためもう一度熱を測ると37. 5と少しだけ上がっていた。 なんも食ってないけどとりあえず薬だけ飲んだ。 まだあと3日、4公演も残っているのだ。 頭がボーっとして重く一度横になってしまえば起き上がれる気がしない。 目を閉じて意識が飛ぶのをただただ静かな空間で待っていた。 この地方公演前から夏休みだというのに大学へ行くことも多かったみたいで少し無理をさせてしまっているかもしれないと反省した。 急いで買い物を済ませてホテルに戻ると摂津は眠っていた。 起こさないようにとみんなそれぞれの部屋に戻る。 今回はくじ引きで部屋を決めていて、摂津は俺と、ついでに他は兵頭と伏見、七尾と坊の組み合わせだ。 起こすのは可哀想だから飯はとりあえず冷蔵庫に入れてシャワーを浴びる。 風呂から出ると摂津は身体を起こして目をパチパチとさせていた。 「おう、起きたか」 「ん、おかえりなさい」 「飯食えるか」 「少しなら」 「少ししか食えねぇのか…。 夏バテか?」 「ただの疲れだと思う」 飯を渡すと摂津はゆっくり少しずつ食べ始めた。 全く食べていないわけじゃないしとりあえずは大丈夫だろう。 二人で会話もなく適当にテレビをつけてそれを眺める。 少しずつ口に運ぶ姿はいつもより何倍も幼く見えた。 「…なんか食いづれぇからあんま見ないでくださいよ」 「お前体調悪いならすぐ言えよ」 「わかってるって」 摂津は三分の二くらい食べたところでお腹いっぱいと食べるのをやめた。 「すんません」 「いい、無理すんな。 アイスもあるから食いたいときに食え」 「あざっす」 「今日は早く休めよ。 明日も1公演ある。 主演がいねぇと出来ねぇからな」 「うっす」 遅めの夕飯を終えた摂津は軽くシャワーを浴びてささっと歯磨きしてすぐにベッドに入った。 暑くて寝つきが悪いと言っていたのでエアコンの設定温度をいつもより少しだけ下げてやる。 明日には回復してるといいんだがな…。 自分の身体が寝る前より発熱しているのを感じる。 頭もボーっとして重い感覚だったのがはっきりと痛みに変わっている。 これはやばい。 音をたてないようにバッグから水と鎮痛剤を取り出しトイレに向かう。 今日は朝昼夕と3錠飲んでいるから本当は飲んではいけないかもしれないけどこのままでは眠ることもできない。 明日の朝分と自分に言い訳して薬を飲み下す。 少しだけ休憩してベッドに戻るとやはり寒かった。 設定温度を確認すると昨日より1度だけ低い。 1度でこんなにも変わるものなのかそれとも俺の熱が上がるサインなのか。 エアコンのリモコンとにらめっこし下げるかどうか悩んでいた。 「どうかしたのか?」 「!左京さん…すんません、起こして……」 「たまたま目が覚めただけだ。 どうした?まだ暑いか?」 「いや…なんでもねぇ」 「……摂津寒くねぇか?」 「え?」 「俺はお前と違って若くねぇから結構この温度寒く感じるんだが」 「あ、じゃあ温度上げますよ」 「すまんな。 お前が寝苦しくないように下げてみたんだが俺がダメだった」 「気ぃ遣わせてすんません」 「俺が勝手にやっただけだ。 気にすんな。 おら、さっさと寝ろ」 左京さんはそれだけ言うと目を閉じた。 俺にとってはありがたい申し出だったが果たして本当に寒かったのか。 寒いという割には毛布をきちんと掛けているわけでもないし、もしかすると俺が寒いのがバレて気を遣われただけかもしれない。 バレていたのだとすると明日俺の様子をよく見てくるはずだ。 さっさと治して気のせいだったと思わせなくてはいけない。 温度を上げたこと、薬を飲んだことで段々と眠くなってきて静かに目を閉じた。 五日目の朝。 今日は1公演で午後から移動だ。 朝身体の怠さはあったが、昨日の夜中に感じた自分が発熱した感覚はなかった。 左京さんはコンビニに用があったらしく出て行ったのでその隙に熱を測る。 表示は37. 3と変わらず微熱だった。 いつまでも熱が下がらず微熱状態にあることに腹が立つ。 五日目のマチネ公演。 結論から言えば成功した。 だけど俺は自分が思っているような演技はできなくて何度か兵頭に助けられた。 いつもの公演でも誰かが不調の時はあってそのときは助け合いながらアクションをこなしてきたから俺が今日不調でもいつもだったらそこまでつっこまれなかったはずだ。 だけど今日はあまりにミスが目立ちすぎた。 「おい摂津。 お前…調子悪いのか」 「いや、あー…まぁアクションはかなり不調だったかも。 悪かったな。 明日の公演では今日みたいなミスはしねぇから」 「あ、あぁ」 まさか兵頭に心配されると思っていなかったしその瞬間を遠くで左京さんが見ているとも思わなかった。 本当は微熱が続いて身体が怠いということも全て話してしまいたい。 そんな気持ちをグッと抑え込んで次の移動先へ向かっていた。 「みんな地方公演終わったら次はいつ休みっすか?」 「みんなというか主に左京?」 「俺は地方公演が終わった次の日とそこから4日後だな」 「みんなその日は休み?」 「俺は大丈夫だぞ」 「俺も」 「俺も大丈夫」 「万チャンは?」 「ん、俺も空いてる」 「おお~!みんな空いてるっすね!」 「なんかあんのか?」 「せっかく地方公演頑張ったしみんなで打ち上げやりたいっす!」 「いいんじゃないか?」 「やった!じゃあ俺っちいろいろ考えておくから行きたいとこある人は言ってほしいっすー!」 移動中、太一が楽しそうに打ち上げの話をしている。 さっきの話だと打ち上げは地方公演が終わってから4日後。 それなら十分に休んで行けるはずだ。 とにかく今は公演を無事に終わらせることだけを考えなくてはならない。 あと3公演だけだ。 全員で飯を食いに行くことになって摂津だけが行かないと言ったあの日はただ疲れているだけだと思っていた。 いや、信じたかっただけかもしれない。 夕飯もいつもより全然食べないし、なんとなく嫌な予感はしていた。 夜エアコンの温度を下げて寝たが、夜中に隣で動いているような気がした。 トイレか、と思って何も言わなかったが戻ってきてからどうにも布団に入っている様子がない。 うっすらと目を開けて摂津のほうを見るとエアコンのリモコンをじーっと見つめていた。 まだ暑いのかと思い声をかけた。 「どうかしたのか?」 「!左京さん…すんません、起こして……」 「たまたま目が覚めただけだ。 どうした?まだ暑いか?」 「いや…なんでもねぇ」 そう答えた摂津の手は僅かに震えていて心なしか身体を縮こまらせているように見えた。 もしかして寒かったのか? だとしてもたぶんあいつは自分から寒いから上げていいかなんて言うことはないだろう。 暑くて寝つきが悪いと言って、俺が設定温度を下げたことに気付いているだろうから。 「……摂津寒くねぇか?」 「え?」 「俺はお前と違って若くねぇから結構この温度寒く感じるんだが」 「あ、じゃあ温度上げますよ」 「すまんな。 お前が寝苦しくないように下げてみたんだが俺がダメだった」 「気ぃ遣わせてすんません」 「俺が勝手にやっただけだ。 気にすんな。 おら、さっさと寝ろ」 摂津はすぐに設定温度を上げた。 やはり寒かったのだろう。 俺にとっては割とちょうどいい温度だったから上げるとやはり少し暑く感じてしまう。 だが風邪をひかれては困るしエアコンのない生活にだって慣れている。 心頭滅却すれば火もまた涼しだ。 しばらくすれば摂津のほうから規則正しい寝息が聞こえてきて俺も安心して目を閉じた。 と安心したのも束の間。 五日目の公演の摂津の演技は言ってしまえばまぁまぁ酷いものだった。 他のメンバーのフォローがなくてはグダグダに終わってしまっていただろう。 喝を入れるべきか少し様子を見るか悩んでいると兵頭が摂津に声をかけていた。 「おい摂津。 お前…調子悪いのか」 「いや、あー…まぁアクションはかなり不調だったかも。 悪かったな。 明日の公演では今日みたいなミスはしねぇから」 「あ、あぁ」 アクションが不調だったことはもちろん本人も自覚済みだったようでかなり反省しているように見えた。 せっかく兵頭が声をかけたのだからと俺から何か言うのはやめておいた。 調子が悪いことは誰にでもあるが4日目の出来事と摂津があそこまで不調だということでみんなもう気付いているはずだ。 それなのに俺たちは誰一人として摂津に直接体調が悪いのかとは聞けなかった。 摂津が頑張って主演を務め全員をまとめていることを知っていたから。 摂津のプライドの高さを知ってしまっているから。 こんなに頑張ってくれているのに体調悪いなら休めとはなかなか言い出せず結局あと残すところ3公演。 そこまで何事もなく終わってくれと祈るしかなかった。 この時公演を中止にしても、何を思われようとも言うべきだった。 「自分のことを大事にしてしっかり休め」と。 今日は2公演ある。 体調は相変わらずだが昨日より発熱している感覚がある。 薬を飲んで劇場に向かい軽くみんなと合わせたが簡単に息が上がってしまう。 こんなんじゃダメだ。 あと3公演乗り切れば終わる。 頼む、今日と明日の二日間なんとか……。 迎えた6日目マチネ公演。 息は上がっているがなんとか昨日よりもみんなのフォローも少なくできていると思う。 身体はもう暑いのか寒いのかよくわからない。 ただ夢中でルチアーノとして生きた。 そしてヒール役の臣、デューイと直接対決するシーン。 ランスキー役の兵頭と協力してデューイの攻撃をかわすはずだった。 「っ!?ぐっ、…!げほげほ!!」 「ルチアーノ!」 デューイの蹴りをもろに受けてしまい、なかなか立ち上がることができなかった。 臣の申し訳なさそうな顔が一瞬見えたが今は舞台の上。 俺に、『摂津万里』に声をかけてはいけない。 「カポネのお気に入りと言えどこの程度か」 「……はは、わりぃ油断したわ。 だがこれくらいなんでもねぇわ」 「ルチアーノいけるか」 「当然」 もうどうやって立っているのかもわからないくらい痛くて辛かった。 でも自然とアドリブの言葉が出てきてアクションもそこからかなりうまくいってラストシーンを迎えた。 「本日は誠にありがとうございました!」 カーテンコールを終えて舞台袖に戻った瞬間立っていられなくなった。 急に腹部に激痛が走り、息の仕方がわからない。 「ぐっ、ぅ…はぁ、…ぅあ…」 「摂津!?おい!どうした!」 「ひっ、…ぅ…息…でき、な……」 「落ち着け!俺に合わせて息しろ。 大丈夫だ」 「…さきょ、さん…、はっ、ぅ…」 「話すな。 まずは呼吸に意識を向けろ。 おい、兵頭すまねぇが救急車呼んでくれ」 左京さんの言う通りにしているとなんとか息は吸えるようになったが腹部の痛みと頭痛がかなり酷く意識が飛びそうだった。 「くそ、かなり熱がたけぇ…。 この状態でやってたのか…!…摂津どこか痛いとことか辛いとことかあるか?」 「はっ、はぁ…は、ら…とあ、たま……しぬ……」 「死にはしねぇから大丈夫だ。 腹はまともに蹴りをくらったからそのせいか…?」 本当に死ぬんじゃないかと思うくらい辛かった。 臣が来て左京さんと何か話しているがうまく聞き取れない。 意識を飛ばすなと声をかけ続けられていたが救急車の音が遠くに聞こえた瞬間プツっと意識が途絶えた。 もちろんみんな気付いていて、摂津がいないところでフォローしあって成功させようという話をしていた。 本番が始まってしばらく様子を注意しながら見ていたが昨日より動きはいい。 むしろ息が上がるのが早いだけで目立ったミスはなかった。 考えすぎかと安心していた。 何事もなく舞台は進み終盤に差し掛かったときだった。 伏見の放った蹴りが摂津の腹にまともに入った。 「っ!?ぐっ、…!げほげほ!!」 「ルチアーノ!」 なんとか舞台は続いているがお客さんの不安な表情、伏見の一瞬見せた表情に焦る。 幕を、下ろすべきなのか。 「カポネのお気に入りと言えどこの程度か」 その時伏見がアドリブで繋いだ。 「……はは、わりぃ油断したわ。 だがこれくらいなんでもねぇわ」 「ルチアーノいけるか」 「当然」 摂津は立ち上がってまた激しいアクションをしていた。 さっきとは見違えるほどキレのいい動きで、華麗だけど泥臭いような男らしいアクション。 そこに摂津万里の姿はなく、ルチアーノという一人の男が存在していた。 そんな摂津に引っ張られるように兵頭も伏見もランスキーとして、デューイとして生きていた。 …摂津は、とんでもねぇ野郎だ。 俺は完全に見入ってしまっていた。 そのあとは全員がどの公演よりもその役として演じたのではなく一人の人間としてその役を生きれたと思う。 「本日は誠にありがとうございました!」 カーテンコールを終えて舞台袖に戻り摂津に声をかけようとした瞬間、摂津は崩れ落ちた。 「ぐっ、ぅ…はぁ、…ぅあ…」 「摂津!?おい!どうした!」 「ひっ、…ぅ…息…でき、な……」 「落ち着け!俺に合わせて息しろ。 大丈夫だ」 「…さきょ、さん…、はっ、ぅ…」 「話すな。 まずは呼吸に意識を向けろ。 おい、兵頭すまねぇが救急車呼んでくれ」 摂津の身体はとうに限界を超えていた。 身体に触れるとかなり高い熱が伝わってきて思わず一度手を離してしまった。 こんな状態、普通の人なら動くことすら困難な気がする。 腹を抑えながら不安な呼吸を繰り返す摂津を支え、背中をさすりまずは呼吸に意識を向かせる。 「くそ、かなり熱がたけぇ…。 この状態でやってたのか…!…摂津どこか痛いとことか辛いとことかあるか?」 「はっ、はぁ…は、ら…とあ、たま……しぬ……」 「死にはしねぇから大丈夫だ。 腹はまともに蹴りをくらったからそのせいか…?」 伏見ももちろん手を抜いてやっているわけではない。 避けることを前提に蹴りを放っているのだからかなりの重みがあっただろう。 「万里!左京さん!あの、ほんとにすみません!俺が、俺が…!」 「伏見、お前のせいじゃない。 お前も一旦落ち着け」 「でも!」 「大丈夫だ。 …おい摂津!意識は飛ばすなよ。 もうすぐ救急車が来るからな」 兵頭には何かあったときのために付き添ってもらうことにして、軽いパニック状態に陥っている伏見と七尾、坊は監督さんに任せた。 救急車の音が聞こえてきた途端、腕のところに急に重みが増した。 「おい!摂津!!…チッ、意識飛ばしやがった…!」 救急車の音は聞こえているのになかなか来ないことに腹が立った。 頼む…!早く…、早く来てくれ……。 俺と兵頭は待合室の椅子で待っていたが長い時間呼ばれなくて不安しかなかった。 その間に監督さんから連絡があって、今日のソワレ公演と明日の千秋楽を中止もしくは延期にしようという話になった。 「摂津万里さんの処置終わりましたのでこちらにどうぞ」 ようやく声をかけられて処置室に行くと摂津は眠っていて点滴に繋がれ、腹のあたりには包帯が巻かれていた。 「摂津くんですが…今かなり熱が高く脱水の状態でしたので点滴をしています。 それからお腹ですが、肋骨が一本折れてしまっていました。 演劇中の事故ですか?」 「…はい、そうです。 熱がこんなに高いとも知らずに舞台に上がらせてしまい、うまく動けずに当たってしまったという感じです」 「なるほど。 摂津くんはもしかしてあまり自分から体調不良とか言わないタイプですか?」 「そうですね」 「そうでしたか。 とりあえず状態がかなり悪いので我々としては少しの間入院していただきたいと考えています。 いかがでしょうか」 こうして摂津は少しの間知らない土地の病院で入院することになった。 兵頭は監督さんたちに迎えに来てもらい一足先に寮に帰らせた。 そして俺は摂津とここに残ることに決めた。 休みはなんとかする。 今はとにかく摂津が優先だ。 気付いていたなら声をかければよかった。 無理矢理にでも休ませるべきだった。 そもそもこんな無理なスケジュールを組むんじゃなかった。 後悔だけが頭の中をぐるぐると回る。 そうしてどれくらいの時間が経っただろう。 摂津がようやく目を覚ました。 「……さきょう、さん…?」 「摂津!目が覚めたか!」 「俺……いっ、!」 「おい動くな。 ここは病院だ。 お前ぶっ倒れたんだよ」 「……!今、何時!?」 「摂津、落ち着いて聞いてくれ。 お前の状態は良くない。 ここに少しの間入院することになった」 「おい…なんだよ入院って…!今日の公演と明日は…!」 「…中止になった」 「はぁ!?ふざけんなよ!!っ!これくらい!なんともねぇ!俺はやれる!」 「今は解熱鎮痛剤を投与されて熱も少し下がって痛みも落ち着いてるだけだ。 これが切れたらまた公演が終わった後の状態になるぞ」 「……なんなんだよ。 勝手に決めやがって…!俺がっ、主演だ…!リーダーは、っ俺、だ…!」 「……すまねぇ」 「出て行ってくれ…!しばらく一人になりたい…っ、」 摂津は泣いていた。 悔しいのはわかってる。 でもそんな状態のお前を舞台に上げることはできない。 医者に摂津の目が覚めたこととしばらく一人にしてやってくれとだけ伝え外に出た。 俺たちはどうすることがベストだったのだろうか。 摂津、本当に…すまねぇ。 公演を中止にするのだけはどうしても嫌だった。 楽しみにしてくれているお客さんがいるのに。 悔しかった。 全部俺が悪いのはわかってるけど、勝手に話を進めた左京さんに腹が立って当たってしまった。 左京さんは俺に怒りもせずに「すまねぇ」と謝って病室を出て行った。 それがまた悔しくて涙が勝手に溢れてきた。 俺の人生でこんなに泣いた日はなかったと思う。 そのうち医者が入ってきて俺の容態を確認して出て行く。 やることもないしやる気もない。 ボーっと天井を見上げていると携帯が音を鳴らした。 そういえばSNSはどうなってるのだろう。 きっと検索すれば俺の誹謗中傷や悪口で溢れているに違いない。 携帯を開けばとんでもない量の通知がきていた。 団員たちからのLIMEはもちろんたくさん来ていたが誰も俺を責める人はいなかった。 Tmitterを覗くと『秋組地方公演中止のお知らせ』というのが目に入った。 覚悟を決めてそれをタップするとファンの人たちからたくさんコメントがきていた。 【大丈夫ですか;;お大事になさってください…!】 【自分のこと大事にしてあげてくださいね】 【気にしちゃダメだよ!誰でも体調不良はあることだからゆっくり休んでください】 【楽しみにしていましたが中止にしてくださってよかったです。 また元気になったら来てください!いつまでも待ってます】 どのコメントも悪口なんかじゃなく、励ましや心配してくれるコメントだった。 休めばみんなに怒られ、嫌われ、評判を落とすとしか考えていなかった。 ちゃんと言えばよかった。 左京さん、みんな…本当にごめん。 LIME 左京さん 【すいませんでした。 本当はお前が不調なのに気付いていた。 なのに摂津ならやれるだろうと見て見ぬフリをしてしまった。 お前も俺らと同じ人間なのにな」 「それは、俺が隠してたの知ってたから気付かないフリをしてくれてたんすよね。 …俺、ちゃんと自分のこと言わなくて結果こんなに迷惑かけて…本当にすんませんでした」 「摂津…」 「俺、休むのって本当にダメなことだと思ってて…。 俺、リーダーだし。 お客さんも時間割いて来てくれてるのに休みなんてなったら評判悪くなるって。 でもさっきSNSのコメント見て、誰も俺に対して酷いこと言ってなくて、俺、…っ、……」 涙腺がおかしくなってしまい言葉に詰まった俺を左京さんはずっと背中をさすって待っていてくれた。 「…左京さん、頭痛い……お腹痛い、辛い、しんどい……。 …少しだけ休んでもいいですか?」 「あぁ、よく頑張ったな。 ゆっくり休め」 左京さんが頭を叩いたがそれが本当に優しくて勝手に涙が溢れてくる。 左京さんはハンカチで俺の涙を拭ってそのハンカチを貸してくれた。 それから毎日劇団員の誰かが顔を出しに来てくれた。 そこそこ場所も遠いのに申し訳ないと言ったら怒られた。 今は自分の心配だけしていろ、と。 休むことも弱音もダメで我慢すればいいと思っていた。 今度からは少しだけ休むことも弱音も許してほしい。 ~後日寮にて~ 「無事に退院出来て良かったっすー!!」 「太一、せっかく打ち上げまで予定してたのに悪かった」 「そんなの全然気にしてないよ!でも打ち上げはまだお預けっすね!」 「悪い…」 「違うって!まだ2公演残ってるからね!万チャンが元気になったらまた地方公演行こうね」 「…あぁ、そうだな」 「摂津、お前にはぜってぇ負けねぇ」 「あ?」 「正直倒れる前の公演の摂津はすごかった、圧倒された。 俺にはまだ…あんな演技はできねぇ」 「…あのときは夢中でやってたからどんなんだったかあんまり覚えてねぇんだよ」 「そうなんすか!?高熱の中あんな演技できるのはやっぱり万チャンだけっすよ!覚えてないなんてもったいないっす!あっ!監督先生に撮ってないか聞いてこよー!」 「あ、おい待て太一、別にいいって…ぃって!」 「バカか。 急に動くな」 「あ?喧嘩売ってんのか」 「あ?」 「てめぇらいい加減にしろよ」 「げっ、左京さん」 「摂津、てめぇが今その状態でもくだらねぇことで喧嘩したら…わかってんだろうな?」 「へいへい」 今日もMANKAIカンパニーは平和だ。

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【毎日がアプリディ】文学・哲学・心理学によって自分がわかるアドベンチャー「ALTER EGO」

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4月から6月にかけて上演予定だった「MANKAI STAGE『A3! 』〜WINTER 2020〜」が、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う政府の緊急事態宣言、ならびに地方自治体の方針を受け、全公演中止となった。 本公演では、すでに4月24日から5月10日まで予定されていた東京・天王洲 銀河劇場公演の中止が発表されていたが、このたび5月14日から24日までの兵庫・AiiA 2. 5 Theater Kobe公演、28日から31日までの香川・レクザムホール(香川県県民ホール) 大ホール公演、そして6月4日から14日までの東京・品川プリンスホテル ステラボール公演の中止が新たに発表された。 チケットの払い戻しについては、後日公式サイトでアナウンスされる。 なおパンフレットやブロマイドなどの公演グッズは、現在公式オンラインストアおよびアニメイト通販で取り扱われているほか、5月14日よりアニメイトの一部店舗、2. 5次元ショップでも販売される。 「MANKAI STAGE『A3! 』〜WINTER 2020〜」 2020年4月24日(金)〜5月10日(日) 東京都 天王洲 銀河劇場 2020年5月14日(木)〜24日(日) 兵庫県 AiiA 2. 5 Theater Kobe 2020年5月28日(木)〜31日(日) 香川県 レクザムホール(香川県県民ホール) 大ホール 2020年6月4日(木)〜14日(日) 東京都 品川プリンスホテル ステラボール 原作:イケメン役者育成ゲーム「A3! c Liber Entertainment Inc. All Rights Reserved. c MANKAI STAGE『A3! 』製作委員会2020 外部サイト.

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